2011年12月アーカイブ

前回、社長のワンマン経営から脱するためには「短期間で社員が育つ工夫をしなければならない」そのためには「PDCAをまわせる仕組みを作る必要がある」そして、PDCAという言葉を知らない経営者はいないけれども、営業部門に関して言えばPDCAをまわしている会社はほとんど見たことがないというお話をしました。

今回はそのつづきです。

 ご存じのようにPDCAというのは一般的には計画(Plan)・行動(Do)・評価(Check)・改善(Act)の略なんですが、そんなわけで今回はちょっと違った形で説明しましょう。

 

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 たとえば、空気清浄機を売りに行ったら、繁華街のブティックで契約が取れたとしましょう。ここで、「売れたのはなぜだろう?」と考えて、「判断」する必要があります。そして、理由がわかったらすぐ次の「行動」を取り、その「結果」の中から有益な「情報」をつかんでまた次の「判断」をする。この繰り返しを短期間に何度も何度もやること、やれるように会社のしくみを作ることがポイントです。そこで私の主な役目はこの「しくみ作り」のコンサルティングをすることなのです。

 

 「しくみ」の話をもう少し書きましょう。

 「判断」するためには「情報」が必要です。「情報」と言ってもこれがなかなか難しいもので、「判断」のために必要な情報を、会社として組織全体でうまく集めて共有できるようなしくみを作れている会社って本当に少ないんです。

 たとえば先ほど挙げた「繁華街のブティックに空気清浄機が売れた」という例ですが、「売れた」こと自体は「結果」です。では、「なぜ売れたのか?」という理由を考えるために必要な「情報」とは何でしょうか?

 そのお店の年間売上? 利益率? 住所? 店主の性格? 取扱商品? 等々、関係のありそうな情報を挙げていくときりがないですね。きりがないので、「ええい、もういい、営業は足で稼ぐもんだ! とにかく数をこなせ! 電話かけまくれ! 強引にアポ取って訪問してこい!」と根性主義に走る会社が数知れず。

 でも、ダメなんですよ、それをやると。

 

 ちなみに、「繁華街のブティックに空気清浄機が売れた」一番大きな理由は何だったかというと、「交通量の多い通りに面しているため、自動ドアから吹き込むホコリが商品の衣料品に積もるので掃除が大変。ホコリを減らせる機械が欲しい」ということでした。これがわかれば、「交通量の多い道路沿いのブティック」が一気に有力なターゲットとして浮上します。こういうものが、「判断」に役立つ「情報」です。「売れた、売れない」という「結果」と、判断に役立つ「情報」の違い、わかりますか?

 

 人の力を伸ばすためには「こういう結果が出たのはなぜだろう?」と考えて「判断」する機会を増やさなければいけません。そして、考えるためには「情報」が必要なので、会社は役に立つ「情報」が集まるように、組織文化をつくり、情報共有のしくみを作る必要があります。

 これをやっておけば短時間で即戦力の人材が育つようになります。どれぐらい短時間かというと、私が営業チームのコンサルに入って行う場合の典型的なプロセスでは、

 

              1ヶ月間、しくみづくりの準備をした後、

              何も知らない派遣社員を雇って2日、研修をすれば、

              3日目からは戦力になる

 

 ぐらいのスピードです。たった2日の研修で即戦力になるように、その前の1ヶ月で「チームがPDCAを回せるしくみ作り」をシャカリキになって準備するわけです。

 

 こういうことをやっておけば、「個の力を活かす経営」ができるようになります。11人の社員の力がうまくかみ合った「チーム」になると、社長1人の能力の限界をはるかに超えた力を発揮できるようになります。

 

 そんなチームができると、仕事は楽しくなりますよ~!!

 

 それでは、次回は「役に立つ「情報」が集まるように、組織文化をつくり、情報共有のしくみを作る」というところをもう少し詳しく書くことにしましょう。「ルール」から「判断」に引いた点線の意味もまたそこで書きますね。

 前回、「会社が民主主義じゃあうまく行かない理由とは」と題して、ワンマン社長の父の後を継ぐ二代目社長がしばしばはまり込む「民主的経営の罠」について書きました。

 中小企業の社長が社員を怒鳴りつけて動かす強権的なスタイルであることなんて珍しくないです。二代目がこれに反発するのもよくあるパターン。でもワンマン経営から脱しようとして「社員の自主性を重んじ、個の力を活かすマネジメント」を目指しても、これがそうそうカンタンじゃあない。

 

 ワンマン経営というのは一強他弱なもので、リーダーである社長だけがビジネス上の判断力を持っていて、他の社員には力がない場合がよくあります。ちなみにこれ、「権限がない」のではなく、「能力自体が鳴かず飛ばず」という意味です。

 

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 こういう状況じゃ、社長はうかつに「権限委譲」、英語で言えばエンパワーメントですか?なんてできません。とても無理な相談です。力がついてないので自由にやらせたらしくじる。だからうるさく指示命令して怒鳴りつける。その結果いつまでも「自分で判断」することができず、社員の力は伸びていかない。これぞ典型的な悪循環。

 

 「権限がない」のと「能力が伸びない」のは原因と結果の表裏一体のようなもので、社員がしくじってもしくじってもぐっとこらえて「成長を待つ」ぐらいの姿勢でかからないと、人材は育たないんですね。

 でも、それをやろうとすると、一時的に会社の業績は落ちます。

 

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 ガミガミ指示命令して社員を動かすと、とりあえず「社長の能力の限界」で会社が動きます。図中のAの赤線ですね。でも、ぐっとこらえて社員にまかせると、少なくとも一時的には図中Bの青線のレベルまで落ちてしまいます。これ、ものすごーく怖くないですか? 「このまま育たなかったらどうしよう・・・」そんな恐れが出てきたら、とてもこの状態は続けていられません。

 

 だから、なんとか「短期間で社員が育つ」工夫をしなければいけないわけです。その工夫なしに「個の力を活かす経営」なんて論外な夢物語。

 理想は、11人の社員の力を伸ばし、それがうまくかみ合った「チーム」にすることで、社長1人の能力の限界をはるかに超えた力を「チーム」が発揮できるようにすること。そうすれば、社長も社員も「笑ってお仕事」できるようになります。

 

 ではそのために何をしなければならないか。

 一言で言うと、「PDCAをまわせるような仕組みを作る」必要があります。

 

ここでPDCAなんていうと、「なんだよ、そんな話か そんなこと知ってるよ!」という声が聞こえてきそうですね。

確かに会社の経営をやっている人でPDCAという言葉を知らない人はいないでしょう。

そして、研究開発や製造工程のなかでは実際に行なわれていることも多いでしょう。

 

ところが!

こと営業ということになると、これがまったく実行されていない、わたしの経験からいうと、それは大手だろうが中小だろうが営業部門でPDCAを回している会社はほとんど見たことがないのです!


つづく

 前回、「絶対に怒らない営業コンサルタント」と呼ばれている話をしましたが、それでひとつ思い出したことがありました。

 そもそもあれです、「怒らない営業コンサルタント」という話がどうして出てきたか。

 「営業部長」ってやたらと怒っているイメージがあるみたいなんですね。

 部下をノルマで締め上げて、達成できないと「たるんどる!」とか「やる気あんのか!」とか「気合いだ!気合い!」あ、これはアニマル浜口ですけど、当たらずといえども遠からず。

 おそるおそる、「あの、このお客様にはB商品のほうが合っていると思うんですけど・・・」 と進言しようもんなら、「つべこべ言うな!」とまた怒られる、そんなイメージありませんか?

 

 実は私のクライアントの何社かで、そんなケースに出会いました。

 

 登場するのは、創業者の息子の2代目社長。

 たたき上げの初代がゼロから作り上げて大きく育てた会社を引き継いで社長となった若き2代目経営者。初代と違って高学歴、留学経験があることも珍しくないしPCスキルも高い。マーケティングやドラッカーなんかもよく勉強している。

 

 ところがところが、そんなスマートな若社長が往々にしてはまってしまうある失敗のパターンがあるんです。それは、

 

              会社を民主的に運営しようとすること

 

 意外でしょうか。えっ、民主的じゃダメなの? と思われるかもしれませんね。

 

 実は私も最初はわからなかったんですが、何例か見ていてはたと気がつきました。

 あ、こりゃだめなんだ・・・会社って民主主義じゃうまく行かないんだ。と。

 

 落ち着いて冷静に考えてみるとですね。一代で会社を大きくした創業社長ってワンマンタイプが多いんです。代表的なのがソフトバンクの孫さんかな。

 社長の一存ですべてが決まってしまう、そんな会社、そんな社長さん、きっと読者のみなさんも心当たりありますよね。

 そういうワンマンタイプは、よく怒ります。社内で部下を怒鳴りつけて動かすなんて日常茶飯事。そしてそれを見てきた2代目社長が経営を引き継いだとき何が起こるかというと・・・

 

              「ああいう社長にはなりたくない」

 

 という意識が働くケースが往々にしてあるわけです。

 我が親ながらその強権ぶりが見苦しくてしかたない、俺はあんな経営者にはなりたくない。親子だからこそ反発してしまうときもあります。教育レベルも高いので、社員の力を活かす美しき経営思想や経営管理の方法論の知識もある。目指すのはそんな経営。俺はきちんと社員の話を聞いて、自律的な行動を尊重し、社員の活力を引き出すマネジメントをしていこう・・・と願って民主的な経営を始めると、

 

 失敗します。

 

 だいたい、うまくいきません。そんなケースを何度も見ました。

 思うに、社員の活力を引き出すとか、そのために自律的な行動を尊重するとか、スローガンはいいんですけど、それが成り立つためには社員のほうもある程度人間として、ビジネスマンとして成長していなければダメなんですね。

 

 ワンマン社長の下で育った社員は、自分で考えて決断し行動することに慣れていない場合が多いです。だから、まずは「自分で考える」ことができるような社員が育つ環境を作ることからやらなきゃいけない。

 

 それに気がついたとき、実は、私自身がやってきたことの意味もよくわかってしまいました。

 

 私自身がやってきたこと、というのは実は2代目社長の理想の形なんですよ。

 前回の記事を読んでいただければわかると思いますが、営業コンサルの現場では私はほとんど怒りません。怒らずにボケツッコミを通して営業マン1人1人を鍛えていく、そんな役割を演じています。

 

(前回記事より引用)

営業マン11人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン11人の「判断力」が上がっていくように。

 

 そうやって1人1人の成長をうながしているうちに、自力でいい判断ができるようになり、私の力を必要としなくなったら、そこでめでたく営業コンサルからは卒業です。ここまでいけば、2代目社長の理想の経営ができるはず。

 でもそれは、「ここまでいけば」の話です。

 「ここまで」いくための仕掛けがいろいろと必要なんですよね。

 じゃあいったいどんな仕掛けが必要なのか。

 2代目社長の理想の経営ができるように、営業社員のレベルアップを図るために必要な打ち手、それは一体何なのか? それは、次回のお楽しみです(笑)

ちょっと聞いてみたいんですけど、営業コンサルタント、というと、体育会系熱血鬼営業所長タイプの延長みたいなイメージ、ありますか?

 え、ある? やっぱりねえ・・・そうなんでしょうねえ。

 いや実は先日、あるクライアントが私を紹介してくれたときに、

 

「庄司さんは絶対に怒らない営業コンサルタントなんです」

 

 というフレーズをかましてくれたもので、思わず「なんじゃそりゃ」と思って聞いてみたわけですよ。そうしたら、

 

だって、庄司さんほんとに怒らないじゃないですか。

営業コンサルタントなんて、鬼の営業所長みたいに

二言目には気合いと闘魂で怒鳴り散らす厚かましいタイプの人を

イメージしてたんですけど全然違っててほんとよかったと思ってるんです

 

 などとおっしゃるわけです。

 

 あらためてそういわれてみると確かに怒った記憶ってあんまりないです。

 あんまり・・・・うーん・・・・あれ? ほんとにないな。 ま、怒るよりも笑って仕事が出来たらそのほうがいいですよね。

 

正直言って、わたしは人の好き嫌いも激しいし、しょっちゅう頭にくるし、

言うまでもなくそんな立派な人間ではありません。

 

ただ、営業チームを育てるのに「怒る」ということ自体があまり有効だとは思わないから

怒らないのです。

 

 じゃあ怒る代わりになにやってるかというと、まあ簡単に言うと「ツッコミ」です。

 たとえばこんな感じです。

 

ある日のA社営業チームミーティングにて

B君:えーっと、先月からヨミに上がっているC社をなんとか

  今月契約に持っていきます。

 

庄司:あれ?C社が先月契約にならなかった理由って何だっけ?

B君:はい、金額の折り合いがつかなくて・・・。

庄司:そうだよね、で、折り合いがつくメドはたったの?

B君:いや、まだです・・・

庄司:だよね~、それってヨミかな?

B君:う~ん、え~っと、すいません願望でした(照れ笑い)

一同爆笑

庄司:(笑いながら)うん、気持ちはわかる。だけどお客さんが無理な

   値引きを要求してくるってのは、まだうちのサービスの本質を

理解してもらえてないわけだから、ここでしつこくクロージング

かけるより、一度ヨミからはずしてもう1回仕切り直したほうが

いいと思うよ。あとで、いっしょに作戦練り直そう!

B君:はい!

 

 

 これ何やってるかというと、つまるところは「営業マンが身につけるべき考え方を少しずつB君が学べるようにしてる」んです。

 

 たとえば同じ会社にB君と私が一緒に訪問したとしましょう。同行ですから一緒に先方の話を聞いて、こちらからも説明をして、終わって引き上げたところでの判断が

 

B君:あの会社は非常に有望だと思います

庄司:いやいや、全然ダメだろ

 

 と正反対になっちゃうことなんて珍しくないんです。特に営業経験が少ないと、どうしても「見込み度合い」への判断に希望と願望(あ、同じか)が入り込むので、どうしても甘い点をつけがちです。これをそのまま放っておくと、

 

本当は見込みのない会社に手間を掛けすぎて全然成果が上がらず、

肝心の「あと少し不安がとりのぞければ買ってくれる会社」へのプッシュが

足りない

 

 ということになりやすいんですよ。

 だから、ミーティングではこの「見こみレベルの判定」を念入りにやります。

 

どんな根拠で見こみレベルをいくらと判断したのか

 

 を営業マン11人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン11人の「判断力」が上がっていくように。

 

 いましがた「ボケツッコミ」と書きましたけど、ほんとにそんな感覚なんですよね。極めてアナログ的。こんなアナログ的ミーティングを繰り返して、11人の判断力を上げた上での「見こみレベル」だったら当てになります。

 こういう判断をするにはどうしても「何年もの間、いろいろな会社と担当者にアタックして成功と失敗と失敗と失敗(しつこい)を繰り返した死屍累々の経験」が必要で、それを何の経験もない新人営業マンが短期間に身につけるのは難しい。だから私のようなコンサルタントが「ツッコミを入れる」ことでそのサポートをする意味があるんですね。

 

 そんなわけで日々ボケツッコミに余念がない、絶対に怒らない営業コンサルタント・庄司充でした。

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