2014年4月アーカイブ

営業チーム強化コンサルタントの庄司充です。

 

(今号は「権力関係の中での人への接し方はなかなか変わらない」の予定でしたが、少々予定を変更してそれは次号に回します)

 

前号では「目的不在の指示からは部下の知恵は出てこない」という話をしていました。

http://sales-pro1.com/mtweb/blog/2014/04/post-35.html

「会社の大掃除をする」という目的を言わずに「明日はTシャツを着てくるように!」という指示だけをしていたワンマン社長のもとでは、社員は怒られないこと、ミスをしないことのほうに頭が行ってしまい、全員が白のTシャツになっちゃうみたいな、いちばん無難なところにいこうとする思考停止の状態になってしまうという話をしました。

 

開米:そりゃ当たり前ですよね。「大掃除」をするためのTシャツだってことを言ってないんじゃあ・・・

庄司:そう思いますよね。目的を言わずに指示を出すのがその社長の悪い癖だったんです。だから私はまず社長にそこから変えていきましょう、と言いました。「何をしろ」と指示を出すだけじゃなくて、「何のために」ということをきちんと説明してください、と。開米さんがもしそう言われたら、なんと答えそうですか?

開米:私ですか? うーん、ちょっと言葉に詰まって、「・・・そうですね、わかりました。今後気をつけます」という感じでしょうか。実際すぐに行動が変わるとは思えませんけど、とりあえず返事は前向きに(笑)

庄司:理屈は理解しても人の行動すぐには変わりませんからね

まあそれはともかく、目的をきちんと語ってください、と私が言ったら、その社長さんは、さっきも言いましたけれど、こう答えたんです。

 

「なんでワシがそんなことをいちいち言わなきゃあかんのや!」

 

開米:これってある意味気持ちがいいぐらいの、絵に描いたようなワンマン社長ですね。

庄司:ははは、まあ、見方によってはすごく素直な言葉ですよね。悪気はないんです。

開米:でもただの高飛車な人物だったら社員20人の会社は作れませんよねえ?

庄司:そうなんですよ、素直で純粋な部分もあるから、特に女性社員なんかには好意的に受け入れられる愛されキャラなところもあるんですよ。わんぱくな子供みたいなもんで、手がかかるんだけれど可愛い、みたいな感じなんでしょうね。ワンマンだけれど悪意は全然無くて、自由奔放な発想のアーチストタイプとでも言いますかね、極めると岡本太郎になる、的な(笑)

開米:なるほど~

庄司:ほんと、その社長のアイデア力はすごいものがあって、70近いのに若い女性にウケる雑貨系の商品バンバン作るんですよ。

開米:ふむふむ

庄司:ただ、本人のアイデア力と天然の愛されキャラで会社は大きくなったものの、組織としてのマネジメントは全然出来てませんでした。なので、その会社にとっては、

 

1.社員が自分で考えて動けるように仕向けつつ

2.それを組織としてマネジメントができるようにする

 

ことが大きな課題でした。そこで「社員が自分で考えて動けるように」する上で障害になったのが社長のその悪い癖だったわけです。

開米:「目的不在の指示」ですね

庄司:そうなんです。だからそこは改めてください、ということを根気よく言いました。はっきり変わってくるまでに半年ぐらいかかりましたね。

開米:半年ですか!

庄司:もちろん、それだけではなくて他にもいろいろな課題を解決しながらの半年でしたけどね。

開米:半年かかりはしたものの、変わったわけですね?

庄司:ええ、それで半年経ったときに社長さん、こう言ったんです。

 

「やっぱりリーダーが大事や!」

 

これだけ見ると別になんということもない言葉なんですけどね。でもその間に、その社長は「思いついたらすぐに最後の結論だけを指示する」スタイルから、何のために何をするのか、目的を明確な言葉にしてそれがきちんと社員に伝わるようにしっかり台本を考えて喋るように変わっていたんです。そうしたら、社員の動きが良くなってきた。目的に沿って工夫をして動くようになってきたので、「問題が起きてから社長が指示する」んじゃなくて、「問題を予測して社員が手を打つ」ようになってきた。それを実感していたんですよ。

開米:ある意味、自分がリーダーとしてダメだった自覚宣言みたいなもんですね。

庄司:そうなんです。リーダーの役割にもいろいろあると思いますけど、部下が動きやすいような環境を作ってやるのがリーダーの役目、という場面が絶対あるんです。それが必要なのに出来てなかった、ということをしみじみ感じて、そこから素直に出てきたのが「やっぱりリーダーが大事や!」という言葉だったんですよね。

開米:ワンマンだけれど素直なリーダーですね。

庄司:ダメなところを自覚したらあっさり受け入れて素直に変えようとする、そういう素直さはすごいです。それもリーダーに必要な資質のひとつなんじゃないでしょうか。それができれば、誰かが助けてくれるんですから。

 

開米:それが出来れば、ということは・・・・できない、パターンもあるんでしょうね?

庄司:ありますよ。非常に良くあるのが、実は、会社のナンバー2が辞めちゃう、というパターンです。

開米:ナンバー2? え、そうなんですか?

庄司:そうなんです。というのは・・・

 

続きは次号にて、「権力関係の中での人への接し方はなかなか変わらない」編です。

 

東京の桜はだいたい終わってしまいましたが、東北新幹線で北上していくと福島あたりでまた咲き始めます。青森県の満開はGWあたりでしょうか、日本ってけっこう広いですよね。

 

前号では「ナレッジ共有! の掛け声は、だいたい、掛け声倒れに終わる」という話をしていました。その実例として、社員数20人・創業30年のあるクライアント社長の悪い癖が、「目的を言わずに結論だけを指示する」ことだった、と書いたところでした。

引き続き文書化コンサルタントの開米さんとの会話でお送りします。

 

開米:それは例えば具体例ありますか?

庄司:すごくくだらない話ですけどね、たとえば朝礼で社員に「明日はTシャツを着てくるように! 以上」と指示して、それだけで終わっちゃうんですよ。

開米:え、Tシャツですか。どうしてですか?

庄司:でしょ。「どうして?」って思いますよね。でも、それを説明しないからみんな疑心暗鬼になっちゃうんですよ。Tシャツを着てこいって、色は?半袖?長袖?トレーナーじゃだめなんだろうか・・・」みたいに。そうすると、結局みんな怒られないこと、ミスをしないことのほうに頭が行っちゃって、いちばん無難なところにいこうとするわけです。全員が白のTシャツになっちゃうみたいな。これを思考停止の状態と言ってるんです。

開米:なるほど。

庄司:Tシャツを着てこいと言った理由は、単に「近々、大事なお客さんが来るので、午前中に会社の大掃除をする」というそれだけのことだったんですけどね。

開米:えー、大掃除ですか。それじゃ、Tシャツじゃなくて、ポロシャツやトレーナーでもいいですよね。下に着るものもジーパンとかの、汚れても洗いやすいものがいいってことですね?

庄司:と、そういう知恵が出てきますよね、「目的」がわかっていれば。

開米:これが知恵?

庄司:「大掃除」という目的がわかってれば、他にもいろいろ気が回るじゃないですか。

開米:・・・ああそうか、家からぞうきん持ってきた方がいいですか、とか、洗剤買ってきましょうか、とか?

庄司:そうそう、掃除したいんなら別にTシャツといっても長袖でもいいんだな、とわかるし、汚れるだろうから白じゃない方がいいだろうな、とか考えられますよね

開米:僕は最近写真に凝ってるので、大掃除の記念写真撮りましょうって提案するかもですね。で、大掃除も社員みんなでこんなに楽しくやってます、という広報資料に使えるようにしたいから、どうせなら派手なコスプレして来てもらってもいいかも・・・・

 

庄司:ということですよ。「目的」がわかれば工夫ができるんです。「目的」を伝えることによって発想が広がるんです。それをしないで社長が自分で考えた結論ばっかり指示してると、誰も考えなくなります。当然そこからは役に立つナレッジなんて・・・

開米:出てくるわけないですね・・・

庄司:そうなんです。

 

開米:で、庄司さんはそのワンマン社長に対してそう助言したわけですね「何のためにやるのか?目的を伝えることがものすごく大事なんです」と。 

庄司:したんですが、これがなかなかたいへんでした。理解していただくのにものすごく時間がかかりました。

開米:えっ、でも今聞いた感じ、とても明快で納得がいく話でしたけど・・・

庄司:いやあ、そこですよ、開米さん。創業30年、御年70歳のワンマン社長に染みついた習慣はなかなかしぶといんですよ。はじめにそのことを話した時は「なんでわしがいちいちそんなことまで説明せにゃあならんのだ!」と言ってたんですから(笑)。そしてこういう「目的をはっきりさせずに指示を出す」ケースが、中小企業のオーナー社長だけじゃなく、大企業の中間管理職でもすごく多いんです。その意味でもこの話は参考になると思います。

開米:そうですね、実際のところその社長さんはどうなったんですか?

庄司:実はですね・・・

 

続きは次号にて、「権力関係の中での人への接し方はなかなか変わらない」編です。

営業チーム強化コンサルタントの庄司充です。

 

文書化コンサルタントの開米瑞浩さん http://ideacraft.jp/cms/ が、最近「少人数チームを活性化する」ということに関心を持ってあちこち取材に行っているそうなのです。

 

「営業チームの活性化」がわたしの専門なので、これはおもしろそうだということで電話してみました。

 

以下 そのときの電話のやりとりです。

 

庄司:開米さん、京都の桜よかったですか?

開米:いやー、よかったですよ。さすが京都!

 

http://photozou.jp/photo/show/3094695/200934379 円山公園の一重白彼岸枝垂桜

http://photozou.jp/photo/show/3094695/200928235 東寺の夜桜と五重塔

 

庄司:あの写真見たら私も行きたくなっちゃいましたよ(笑) まあそれはおいといて開米さん、最近何か面白いことやってるじゃあないですか。

開米:少人数チームの件ですね

庄司:そうそう。

開米:いやあ、僕の本職とも関係のある話なんですが、取材してると庄司さんがいつも力説してるのと同じ話が出てくるのですごく面白いですよ

庄司:ほう、そりゃぜひ聞きたいですねえ。たとえばどんな話ですか?

開米:たとえばチーム内でのナレッジの共有が大事という話です。それで逆に庄司さんにちょっと聞きたいんですけど・・・

庄司:はい、何でしょうか?

開米:あるIT関係の会社で、エンジニアに既存の取引先向けの提案書を書かせたそうです。ところが、それまで提案書なんてほとんど見たこともないのに書けるわけがないじゃないですか。

庄司:書けないでしょうねえ・・・

開米:提案するからには、「こういう問題があって、こういう手段で解決できて、こんな利益が得られます」という感じで、「問題と手段と利益」は少なくとも書く必要がありますよね。それがぜんぜん書かれてなくて、「新システムの機能説明書」みたいなものになっちゃってたそうです。

庄司:ああ、それ、ありがちですね。

開米:で、こういう問題は「提案書の書き方」というナレッジが社内で共有されていない、ということだと思うんですよ。

庄司:なるほど。

開米:そこで、手短な解決策としては、今まで作った簡単な提案書を集めて、みんなが見られるようにしておけばいいのかな~、とか思ったんですが、どうでしょうか。リクルートではそうしていた、と以前聞いた気がするんですが。

庄司:あ、そういうことですか。なるほど、そうですねえ・・・

 

で、ちょっと考えました。「提案書のサンプルをみんなが見られるようにしておく」というのも、それはそれで必要なことですが、それだけではちょっと足りません。それだけだと、

 

エンジンがない車

あんこが入ってない鯛焼き

魚のいない釣り堀

電池の切れたiPhone

 

みたいなもので、見かけはカッコ良くても中身がない、そんな状態になる気がします。

 

よくあるのが、営業支援システムの導入が先行してしまうケースですね。

 

庄司:たとえば、「これで営業ナレッジの共有も営業マンの管理もバッチリです!」なんてうたい文句で売られてる「先進的な営業支援システム」を導入しちゃって、でも全然ダメな会社がよくあるんですよ。

開米:そういえばその話も前にされてましたね

庄司:そう、だいたい「これでナレッジを共有するから、入力しろ!」なんてかけ声かけたからって、みんなが喜んで入力するわけがないんです。

0412-1.PNG

開米:入力をサボる奴は締め上げる!(笑)

庄司:と、いうことをすると形だけやるようになるから、誰も読まない役に立たないゴミ情報の山ができるだけで

開米:ですねえ・・・。いちばんの原因は何なんでしょう?

庄司:はい、いちばんの原因は「目的がしっかり共有されていないこと」です。

本来の目的がしっかり共有されてないから、いつのまにか「入力すること」が目的になってしまっている。

 

こんな話をしているうちに思い出したのが、ある私のクライアントのケースです。

 

社員○人、創業○年のその会社は、70歳になる創業社長の典型的なワンマン会社でした。

この社長さんは、ワンマン社長にありがちな「目的を言わずに結論だけを指示する」癖がありました。

 

じつは、「目的を言わずに結論だけを指示する」スタイルの上司がいると、部下は思考停止の状態に陥ってしまうんです。

 0412-2.PNG

開米:思考停止?

庄司:そうなんです。言われたことを怒られないようにやるだけになっちゃって、知恵が出てこなくなるんですよ。こういう状態でナレッジを共有しよう、なんて形だけやっても無駄なんですよ。共有すべきナレッジが出てこないんですから。

開米:それは面白そうな話ですね! もっと詳しく聞いていいですか、その会社のこと?

庄司:いいですよ、じゃあ・・・

 

続きは次号にて、「目的不在の指示からは部下の知恵は出てこない」編です。

わたしは新しいクライアントさんのコンサルティングがスタートすると、まず営業ミーティングを見せてもらいます。

 

ミーティングを見ればそのチームのマネジメントのレベルがわかるからです。

 

これまでの経験からいうと、残念ながらほとんどの会社がまったく意味のないミーティングをやっています。

 

たとえばこんな感じです。

 

上司「はい、じゃあそれぞれ先月の結果を報告してください。まずAから」

 

営業マンA「はい、残念ながら先月も目標達成することはできませんでした。」

 

上司「う~ん、まただめかあ。なんでいかないのかなあ?」

 

営業マンA「はい、先月は現状を打破するために、あらたに○○業界へのアプローチを強化したのですが、残念ながら思ったほどの反応がありませんでした。」

 

上司「それで、今月はどうなんだ?」

 

営業マン「正直言って、今月も引き続ききびしい状況です。」

 

上司「それで、どうするつもり?」

 

営業マン「はい、ただそうは言ってもやるしかないので、気合を入れなおしてさらに行動量を増やして目標必達でいきたいと思います。」

 

似たようなやりとりが数人の営業マンと行われ、言いわけのヘタな営業マンは餌食として怒鳴られちゃったりします。

 

そして、最後に上司から

 

「とにかく、みんな気合を入れなおしてくれ。このままじゃほんとうに会社はきびしいんだからな!」

 

などと激がとばされ、みんなが深刻な顔で席を立つ。

 

こんなミーティングが毎月毎月行われています。

 

これ、どう思いますか?

 

こうやって文字に起こしてみるとよくわかりますよね。

いかりや長介じゃあないけど「だめだ、こりゃあ」ですよねえ。

 

では、このミーティングのどこがダメなのかわかりますか?

 

はい、そうですね

 

なにひとつ具体的な策について話されていないんです。

すべて抽象論、精神論で終わっているのです。

 

ちょっと見ていきましょう。

 

「アプローチを強化した」ってなんですか?

 

強化したっていうのは、トークやツールを変えたり新しく作ったりしたのか、それとも行動量を増やしたということなのか、もし行動量を増やしたという意味なら、今まで何件だったのを何件に増やしたのか?

 

「思ったほどの反応がなかった」と、言ってますが、思ったほどの反応ってどのくらいの数値を期待していたのでしょう?

それに対して実際はどのくらいで終わったのか?

 

「さらに行動量を増やす」って、どのくらいからどのくらいに増やすのか?増やすことでどんな結果を想定しているのか?

 

たったこれだけの会話の中ですら???がいっぱいなのです。

 

この上司と営業マンのやりとりに隠された本音は

 

営業マン「がんばってるんですけど、売れないんですよ。どうすれば売れるのか教えてくださいよ!」

 

上司「おれだってわかんないよ。だけどおまえらがやるしかないだろ、なんとかがんばれよ!」

 

と、言ってるわけです。

 

びっくりするほど多くの会社がこんなミーティングをやっています。

じつは、こうしたうわべだけのミーティングは、意味がないだけでなく参加者全員に無力感を感じさせてしまいます。

 

いっそのことみんなで飲みにでも行ったほうがよっぽどましです。

 

なぜ、こんなことになってしまうのか?

 

これは、すべて途中のプロセスを把握する仕組みがないために起こる現象なのです。

 

わたしはこのようなミーティングを「責任追及型」と呼んでいます。

 

前回お話ししたように「成長市場」の時代には、責任追及型のミーティングでもなんとかなりました。

 

行けば売れたからです。

 

しかし、複雑化した成熟市場では、もはや通用しないのです。

 

では、成熟市場ではどんなミーティングをすればいいのか?

 

成熟市場で必要なのは「問題解決型」のミーティングです。

 

プロセスを把握する仕組みをつくって、全員で検証しながらつねに改善策を立てて実行していく。

 

そういうミーティングをするために必要なのが、リーダーのマネジメントスキルなのです。

 

営業マンに激をとばすよりも、リーダーであるあなた自身のマネジメントスキルを身につけることが、ほんとうの問題解決につながるのです。

 

リーダーのあなたしだいで、チームは変えられるのです。

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