マーケティングでもっとも大切なことは?

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「ありがとうございます! ほんとうに助かりました。」

「いえいえ、よかったですねえ。」

 

待合室で待っている間、奥の診療室からはこんな会話が何度も聞こえてきました。

吉見さんの事例でおなじみの、亀まんねん「いとう歯科」での話です。

 

先日、差し歯をつくってもらうために、はじめておじゃましてみたのです。

いとう歯科は、もともとわたしが住んでいたところからわりと近所にあったのですが、線路の反対側だったこともあって吉見さんのお話を聞くまでは正直まったく知りませんでした。

 

西荻窪の駅を出て、約7,8分歩いたところを一本脇道に入ると車の通りのほとんどない閑静な住宅街が広がります。

いとう歯科は、まさにその一角にありました。

 

ちょっとなつかしい感じの玄関を入るとほのかにやさしいアロマの香り、待合室には先客が3人、みなさん70代から80代ぐらいのご年配の方々がいらっしゃいました。

 

建物自体は古いけど、きれいに整頓された室内では木目調のスピーカーから落ちついたクラシック音楽が心地よい音量で流れています。

年配の方々がすごしやすいようにエアコンも弱めの設定です。

 

いすに腰をおろすと、壁には伊藤先生手づくりの絵手紙や患者さんの喜びの声があちらこちらに張られています。

そして机の上には・・・ 出ました!水槽に入った亀くんと、「亀がやってきたものがたり」を写真と絵と文章でつづった冊子。

 

冊子に載っている当時の医院の写真を見ながらおばあさんがおじいさんに楽しそうに話しかけています。

「ほらほら、昔はこんな感じだったわよねえ。今は若先生がやってらっしゃるのよ。」

 

その後も、ほどよい感じで途切れることなく患者さんがやってきます。

すべて年配の方です。

 

なかには「10年ぶりなんですよ。最近スマホを見たら若先生が部分入れ歯をおやりになってるって書いてあったんで」なんていうハイカラなおばあさんもいらっしゃいます。

 

ここに来るとわたしなんかは超ヤングです。

 

想像はしていましたが、吉見さんのねらいが見事に具現化しているのを間近で見ることができて、思わず「お~っ」と心の中でうなってしまいました。

 

そのときふと頭に浮かんだことがありました。

 

それは

 

「もし、いとう歯科がなかったら、ここにいる皆さんはどこの歯医者さんに行っていたのだろう。」

 

ということです。

 

もちろん西荻窪にはたくさんの歯医者さんがあります。

でも、きっとどこに行ってもほかの歯医者さんでは近代的すぎて機能的すぎて、ここに来ているみなさんは若干の居心地の悪さを感じていたのではないだろうか、いとう歯科に来ているご年配の患者さんたちにとって、これほど安心して落ち着ける歯医者さんはなかったのではないだろうか、そんなふうに感じてしまうのです。

 

それぐらい客層とそれを迎える医院のつくりがみごとにマッチしているのです。

 

マーケティングを成功させるのにもっとも重要なことは、儲けるために策略的に心理学をつかうことではなく、想定したお客さんに喜んでもらうための「心づかい」や「思いやり」なのかもしれません。

 

いとう歯科は、高齢者の方々への配慮であふれていました。

 

きっかけは、駅前に新しい歯科医がどんどんできて患者さんがへってしまったことだと聞いています。

そのころは、どこにでもある「誰でも なんでも いらっしゃい」の歯医者さんだったそうで、3代目の伊藤先生が継ぐころには、特徴のない古さだけが目立つ歯医者になってしまっていました。

今の元気で幸せそうな伊藤先生からは姿からは想像できませんが、当時はそうとう悩んでいたそうです。

 

それを

「高齢者向け」「保険がきく」「入れ歯専門」にしぼったことで、静かな環境も、昔からやっていることも、ちょっと古めの室内もすべてがプラスに作用して近所のご年配の方々にとってかけがえのない唯一無二の歯医者さんになったのです。

 

「自分にできること」と「必要としてくれている人の想定」と、その「伝え方」がぴったり合えば、ビジネスはこんなにすばらしい結果を生むんだということを、あらためて実感することができました。

 

今回は、マネジメントの話からずれてしまいましたが、いとう歯科で起こっていたことをぜひ伝えたくなって書きました。

 

マーケティングのキーである「誰に」「何を」「なぜ」を明確にしてくれることでは、吉見さん、森川さんは日本でもトップクラスです。

 

売上が伸びずに悩んでいる小規模事業者や店舗経営者の方は、ぜひ相談されてみてはいかがでしょうか。

 

追記

帰り際に伊藤先生が「じつは、今後女房にも手伝ってもらうことにしたのですが、どんなふうにマネジメントしたらいいか今度相談させてください。」とおっしゃってくださいました。

だけど伊藤先生、奥様のマネジメントってのはもっとも難易度の高いスキルでっせ~(笑)

 

追記の追記

伊藤先生につくってもらった差し歯ができました。

以前、よその歯医者さんでつくってもらったのとはぜんぜんちがうカタチにびっくり、

さすがオリジナル!おかげで違和感なく食事もばっちりです。ありがとうございました。

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このページは、庄司 充が2014年6月22日 22:01に書いたブログ記事です。

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