「社長はビジョンを熱く語れ」 第4話
■シリーズ第4話:「ビジョン」を作るために必要な「顧客と会社と社員の目」
さて、前回は「会社にはビジョンが必要だ」ということを書きました。素直に共感できて、この目標めざして今日も仕事をがんばろう、と思えるようなそんなビジョンが必要だ、ということなのですが、この「ビジョン」の作り方には実は少しコツがあります。
「ビジョン」というとよく「抽象的な企業理念みたいなもの」と誤解されるんですが、ちょっと違うんですよね。
よくありますよね、「社是」とかいって会社の壁に貼ってあるようなもの。
<抽象的な「社是」>
私たちは、社会に役立つ、安心して使える製品とサービスを提供します。
私たちは、社会的正義にのっとり公正な企業活動を推進します。
私たちは、地球環境の保全に寄与すべく継続的な改善活動を行います。
とか、こういう感じのものはホント、抽象的すぎて、私が言っている「ビジョン」ではありません。
いやもう少し正確に言うと、これだけだと「ビジョン」の1割ぐらいにしかならないんですね。
車に例えるなら右前輪しかない車のようなものです。タイヤは4つ揃っていなければろくに走れませんよね? 役に立つ「ビジョン」を構成するには、欠かしてはいけない要素があるんです。それは何か? を、飯田社長の会社の事例で探ってみましょう。
■事例:飯田社長の会社のビジョンはこれだ!!
オフィスクリーニング用品のレンタルサービス会社、R社を経営していた飯田社長が掲げた「会社のビジョン」は、こういうものでした。
<R社のビジョン>
(1)目的
私たちは、街の「きれいコンサルタント」として、
きれいにしたいときは「○○に相談しよう」といわれる会社になる
(2)行動目標
そのために、サービスNo.1、スキルNo.1、成長率No.1を目指す
(3)売上目標
その結果として、3年後に年商○○円を達成する
(4)夢
そのとき、私たちは、
・社員がいつでも利用できる福利厚生施設を充実させる
・休暇制度が有効活用できる人員体制にする
・社宅制度を充実させて、遠方の人間も働ける環境をつくる
以上! 抽象的な「社是」とはずいぶん違いますね。
■庄司's Eye:「本当に役に立つビジョン」には顧客と会社と社員の目が必要
ポイントは、「顧客」「会社」「社員」の3者の視点で「こうなれたらいいなあ」を織り込んでいることです。下の図をご覧ください。
一番大事なのは、「目的」です。「目的」は、顧客に対して提供するもの、ちょうど(A)の部分を決めることです。R社の場合は「きれいにしたいときに相談できるキレイコンサルタントであること」でした。
目的が決まると、その目的のために会社と社員が「行動すべき目標」、図で言うと(B)と(C)の部分が決まります。R社の場合は「サービスNo.1、スキルNo.1、成長率No.1」がそれでした。
その目的を達成すると、見返りが得られるはずですね。つまりは「お金」です。図で言うと(D)の部分で、それをR社は「売上目標 3年後に年商○○円」と設定しました。これは「会社にとって」の視点です。
一方、会社は社員の働きによって成り立つものです。社員にとっての「見返り」は何でしょうか? それが図で言うと(E)の部分で、R社はそれを「夢」と書きました。福利厚生、休暇制度、社宅制度、これらはみな社員が得られる見返りです。
以上、こうして見ると、R社のビジョンの中に「顧客と会社と社員の視点」がしっかり盛り込まれているのがわかりますね。抽象的なだけの「社是」とは比べものになりません。これが「やる気が出るビジョン」の実例です。
・・・・おっと、ここまでの説明で1ヶ所抜けているところがあるのに気づいたアナタは鋭い!!(笑)
図中で「顧客」から「社員」へ引かれた(F)の矢印。これはいったい何かをまだ説明していませんが、ここは今後の宿題にしておきましょう。大丈夫です! 心配要りません。実際に営業チームフォース再生プロジェクトを始めたら、毎日毎日この(F)が社員にやる気を与えてくれる大事な要素になるので、いやでも分かっていただけることでしょう(笑)
■願い:人の役に立って感謝されてお金がもらえるって最高ですよね!
このシリーズの第1話がどんな話から始まったか、覚えてますか?
「この空気清浄機を入れたら、商品にホコリがつかなくなってすご~く助かってます。嬉しいわあ」というお客様の一言が発端でした。
人の役に立って感謝されてお金がもらえるって最高ですよね!
そんなふうに仕事をしたい、と思いませんか?
人は誰もがみんなそうなんです。人の役に立って感謝されてお金がもらえるのが最高です。だからこそ、そんな会社を作るために、今一度問い直したいこと、それは・・・
■庄司の問い:社長自身が本気で「こうありたい」と願えるビジョン、作ってますか?
社長さん、あなた自身が本気で「こうありたい」と願えるビジョンを作っていますか? 考えていますか?
R社の飯田社長は、「ビジョンを作ろう」という庄司のアドバイスを受けて、
頭から湯気が出そうなほど必死になって考えて考えて考えて
あのビジョンを作りました。
そのぐらい、まずは社長が本気になって「こうありたい」と願えるビジョンを作ることが欠かせません。これにははっきり理由があります。その理由とは・・・
答えは、次回の更新にて!
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