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庄司 充

もしも、あなたがハイパーレスキュー隊の隊長だったら?その2

エピソードその2 あいつには身重の妻がいる!


ハイパーレスキュー隊は、緊急の災害に対応するために、

様々な分野のスペシャリストによって構成されています。


今回出動したチームも、ホースをつなぐチーム、放水するチーム、

作業員の放射線量を計り被爆を防ぐチームといったように

分業されていました。


ホースをつなぐチームは、予定していたルートが瓦礫で

ふさがれていたため、大きく迂回して、何十キロもある

重いホースを漆黒の暗闇のなか、手作業で通していきました。


その傍らでは放射線を計るチームが、つねに自分たちのほうが

高い放射線を浴びる位置に立ちながら危険を知らせます。


彼らの懸命の作業によって、ついに海から放水車まで

ホースがつながったその瞬間、その様子を終始見守っていた

放水チームの頭に浮かんだ思いはただひとつ


「あいつらの努力は絶対にむだにしない!」


ということだったでしょう。


決死の思いで自分の役目を果たした他のチームのメンバーは、

その運命を放水チームに託します。


放水車の運転席には囲うものがなく、防護服を着ているとは

いえ放射性物質を大量に含んだ水しぶきを浴びながらの

作業になることは必至でした。


その運転を志願したのは身重の妻をもつ隊員でした。

そのことは全員が知っていました。


ついに放水車から放たれる水が標的をとらえたとき、

固唾をのんで見守っていた仲間たちは、暗闇のなか誰もが

無言で固い握手を交わしていたそうです。


☆鉄壁のチームワークが生まれる理由②


仲間への尊敬と感謝が自ずと責任感を大きくする


つづく

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